最終形態について再び

釧路川を横断する幣舞橋という橋がある。
その幣舞橋から釧路駅までまっすぐ続く通りを北大通と呼び、かつては
商店街がにぎわいを見せていた。しかし今はシャッターの下りた店の
名前だけが残っているような建物、映画館スガイには貸物件の貼り紙、
大通りなのに道路と歩道があり余り、誰が使うのかわからないが
増えたホテルばかりが目を引く。

高校時代の大半を釧路で過ごしたが、釧路自体はあまり好きではない。
だが無性にこの北大通を歩きたくて仕方がないのだ。

通りの景気が悪いのは一目瞭然だが中山茶紙店の存在を確認して安堵、
佐藤紙店もささき画廊も10年前と変わらない、むしろ活気づいてるかの
ように見えるから不思議だ。ささき画廊の右手にある古本屋豊文堂の二階が喫茶で
一階から流れる音楽と中古のレコードジャケット、積まれている美術書の
コラボレーションが見事だ。ぼくにはこの一帯が神がかって見えた。
音と絵とコーヒーがあれば多分こわいものなんてないだろう。
おまけに店員の20代前半の眼鏡男子は愛想もいいときた。

地元へ帰る理由の大半を占める
美術あとりえKUSHIROに寄ってきた。
恩師である阿部先生(リンク先は最新の個展の様子)が講師をしている
釧路では珍しい、学生に焦点を当てた美術予備校だ。
9年前に自分も先生にお世話になったのだ。
先生に絵を習わなければOPUに入ることはおろか
今のsukechanは存在していない。

先生にポストカードを見せて、今後の作品製作についてのアドバイスを頂いた。

・作品全体に何か大きな流れがみえるといいかも。
(先生の個展作品群はそれが見えた、たしかにデザフェスのポストカードはバラバラな場面・・)
・ファインアート、
タブロー寄りな性質にみえる。ただの機械的なインクジェットプリントより
版画を意識してもいいのでは?
(ジクレー印刷に加筆という手法はこのアドバイスにうってつけだと思う。)

もう12月末であるが、今日から冬期講習の開始らしい。
高校2~3年生が黙々と課題をこなしている。
生徒数も去年より増えていた。水張りに苦戦している姿に
共感を覚えた。

休憩室には 過去に作った同人誌の「コミツカアニツジ」「IDEE」「大黒白
個人誌の「詰め合わせ」「10god」が本と一緒に並べられてあって恐縮する。
生徒さんの中には読んでくれている人もいるとか。

雑誌や美術情報誌が陳列されている棚には
コミッカーズアートスタイル
季刊 S
季刊 SS
の最新号からバックナンバーも網羅されている。

いったいどんな教室なんだ?と興味をもつひともいるだろう。
美術あとりえKUSHIROは実はホームページがない。
ネット上にもほとんど情報が転がっていない。
でも、それでいいのかもしれない。
『ささき画廊』の4階には
普通に学生をしてきた人間が
見たことも無いような世界が広がっている。

参考
ジャーナリスト・ネット
豊文堂
美術あとりえKUSHIRO 住所:北海道釧路市北大通8丁目1
佐藤紙店
ささき画廊
恵文社
飛鳥新社

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