その力はどこからくる


『NOELL PAR DOUSE ANIMAUX』
場所 suβ(ズュース)ミュージアム
13:00~19:00 CLOSED WEDNESDAY

久しぶりに原宿駅から青山の方向へ
向かう。しばらく来てないだけなのに
こんなにも視界が普段と違って驚いた。
が、自分を驚かせる視界にも用は無い。

それはCHANELという建物がとぎれるところで
右折してまっすぐ進む、スタバを超えて、まっすぐ進むと左側に現れる。
現れるというよりは民家などに混在して隠れている。

それはおとぎ話にでてくるかもしれない外観である。
立て看板がでてるけれども、引き戸が閉まっていて
営業しているのか不安になることもある。
しかししかしあなたはほんの少し勇気を出して
静かにあけてみること。チャリーン と音がする。
小さな玄関から狭い通路に続く道が目の前にあって、
左側に木の階段がある。そこから見上げてみることだ。
人間でない種族が住んでいるかもしれない
そんな雰囲気。

そのまま通路の奥へ進んでいってもいいし
上に向かって声をかけてみてもいいかもしれない

「こんにちはー、やってますかねー」

「ゥワンッ」

足音を二つ感じる
そしてやはりひとつは人間の音ではない

11人の森の番人の集会

柳田さんの絵本が立て掛けてある。(ネットだとここしか情報がなかった)
入ってすぐ下側、あまり目立たないところに置いてある。
布の一枚一枚に直接絵を描いて、
穴を開け、ハドメをつけてネジやフックで
ボードに打ち付けてある作品。ボードには
赤いレース生地がひいてあって官能的に
目を惹く。5ページくらいでストーリーがある絵本のような
構成。なぜか左と右側で絵を分けてて、見る側は左と右で
絵が合うのかとおもってめくり直したりする。
とにかく、描線というか装飾的な部分や作られるキャラクターが
とてもsukechanには描くことのできない、でもあこがれる様な
そんな絵なのだ。装飾的だから繊細なのかというと でもそうでもなくて
筆は走ってるし、塗りつぶすような感じでクレヨンの混色みたくなってる
ところもあるし、不思議な絵だ。そしてこの媒体にとっても合う絵だと思った。
逆にキャンバスなどに描いてあると あまり生きなかったかもしれない。
一番上にある絵だけ赤い糸で刺繍されている。オーナーさんの話によれば
昨日突然 彼(柳田さん)が百斤ショップに赤い糸を買いに出かけ この場所で
縫いだしたということだ。

それを聞いてあまりの突発的行動力に吹いたけれども
ぼくがすきなのはこういう力なのだとおもった。

他に元気を出すための贈り物用カードと
キノコポケットを買った。キノコポケットは
これで1セットという設定に吹いた。
ほんとは真ん中右のが欲しいなと思ったんだけれども。
この小さなポケットは何を入れるのかという疑問は
直接行って解決するといい

かばんにつけてもいいかもとおっしゃっていたので
トートバックのもち手に通らせてみたら
キノコの重みでめくれ返った


両壁にふと見たことのある窓の風景があった
たしか前回最後に行った『ROMA'S RING』
のときにNEON O'CLOCK WORKSがディレクションして
作った絵が残っていたのだ。

彼らは今海外にいて、しばらくは日本での展示をみることも
できないだろうとのこと。いやもしかしたらずっとみれないかもしれない。
彼らは世界でやったほうがいいのだとオーナーさん(?)はおっしゃった。

このズュースミュージアムで初めてNEONの展示を見たときのことは
ずっと忘れないだろう。
この小さな部屋で、あの時期に、音と、映像と、箱と、絵と
五感のすべてを震えさせられたような、経験や外の喧騒を断ち切られた
箱のなかに詰め込まれたような、もしくはやっと世界の本質に
触れられたかのような。
誰かに薦められたわけでもなく、強制されたわけでもなく、評判を聞いたわけでもなく、
ただ本に載っていた画(え)に惹かれるままにたどりついたのだ。
ぼくは本物をみた。

オーナーさん(?)に一礼して、去ろうとした。
激しかった二階の足音はすっかり今では止んでいる。
ふと視線を感じて階段を見上げてみた。

白くてモッサモッさした犬が顔だけだしてこう言った。

「それで肝心の君はどこへいくんだい?」



参考
neonoclockworks
yui's scene
ズュースミュージアム・・・東京都渋谷区神宮前5-21-2


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