まんが道とトキワ荘

まんが道をはじめて読んだのは小学校高学年だった。
北海道の本屋もないような田舎に住んでいたが、父の友人の漫画オタクの
オジサンのおかげで手塚治虫や藤子不二雄の漫画に触れる機会が
あったのは幸運だった。

「まんが道」八巻の自炊をしたキャベツ料理をみて
それまで別に好きではなかった野菜がご馳走にみえるようになった。
二畳の狭い部屋で壁に背中を預けながら満賀道雄と才野茂が徹夜して
漫画を描くシーンに影響され、弟とぼくは漫画の合作をすることに決めた。
しかし漫画の方向性の違いにより喧嘩して一夜で解散した。

現在・・・舞台は東京にうつる
友人から借りてきたまんが道がミチワ荘でブームになっていた。
そして石神井公園駅をとおったときに見かけたポスターに
「トキワ荘スタンプラリー」という文字を発見。
これは何かの引き合わせかとおもい、茄村祐介は早速現代のまんが道の
まっただなかにいる大噛週二を呼び出した!

大噛週二は週刊少年ジャンプに投稿するネームを書いている
真っ最中だったが一つ返事でスタンプラリーの旅に加わると言ってきた!
さらに料理デザイナーの808DE魔菜が加わり
ぼくらのトキワ荘スタンプラリーは盛り上がりをみせそうな予感がした!

早速、ミッチにトキワ荘巡りの計画を話したところ
ひどいしかめ面をして苦しそうにこう言った。

「オエーン!」

岡山弁で「おえん」というのは「できない、いけない、あかん」
みたいな意味を指すらしい。その日は彼女の実家でラーメンを
食べるからいけないというのだ!茄村祐介と大噛週二は
一人の男がまんが道を踏み外していくのを目の当たりにした!


スタンプカード



トキワ荘通り



テラさんのチューダーを飴にしたもの



ラーメン「松葉」入り口



ラーメン松葉の「ラーメン」480円



ラーメン松葉入り口



ラーメン松葉入り口



ニコニコ通り



トキワ荘記念碑

トキワ荘は跡形もなかった。
記念碑をみてもまんがのファンはなにも嬉しくないだろう。
当時のパン屋なども跡地になってしまっていた。
それでも、松葉のドアを開けると誰かがネームを書いているような気がした。
このシンプルな松葉のラーメンが時代をかろうじて繋げているような気がした。

西武池袋線沿い、椎名町・・・小さい頃に夢見た漫画の舞台にぼくたちは
いつのまにか近づいていた。
そして彼らの「まんが道」の舞台には近づいたけれど、茄村祐介はまんが道を
ずいぶんと前に降りたことも自覚しなければいけなかった。

大学を卒業してから、茄村祐介はアートアンドクラフト運動があった頃のような
工房が欲しいと思った。そこは様々な芸術家が仕事をしたり絵を描いたりする
多重アトリエのような空間だ。
だが、実は茄村祐介は子供の頃からすでにそのような空間を漫画の中で
見ていたのである。
それこそが「トキワ荘」だった。

帰ろう、石神井公園へ。ぼくたちのミチワ荘へ。
ミチワ荘を見上げるとミッチの部屋の明かりはついたままで
机に向かうミッチの影が・・・見えなかった、真っ暗だった。

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