出ン社、伝写になる
マンスーツ、マンスーツ、ウーマンスーツ、制服、ウーマンラフ、スイーツ
今日も変わり映えのない いつものセットメニューのはずだった
大量入荷した1個中隊はありそうな小学生がわっとかけこんできた
彼らは最初は椅子取りゲームのような感じで我先に席にかけこんだが
仲間を座らせるために ぎゅうぎゅうに詰めてすわるのだ
ぼくもいつも以上に内股になって詰めたが、さっきから描いてたノートは
しまわなかった。
彼らはデュエルのことを話してた気がする。
それから、人間観察がはじまった。彼らは彼らにしか聞こえないように
さっきの会話よりも声を落として
「あ、女子たちが座ってる横に イケメンがいる。」
目の前の整った顔立ちをした長身の兄ちゃんは
小学生男子にたった四文字で片付けられた。
あぶなく吹きそうになった。が、鬼の形相を保つ。
そしてぼくに密着している隣の男子は
たぶん絵をちらって見てるのがなんとなく視界ごしに伝わる。
今度はぼくのほうに興味が移ったらしい。さて、何をいってくるのか。
隣の子がぼくの顔を下からちらって覗いてきた。が、ぼくは鬼の形相で
ノートにひたすら絵を描いている。
「顔は、ださい。」
三文字かよ!
でもそのあとに
「うまいよね、ぼくさっきからずっとみてるよ。」
「漫画家だよ?」
「作家じゃないかな?」
その声もかなりはっきり聞こえてるw
彼らのひそひそ声だったのかな
なんか嬉しかった
煙をモクモクさせたような黒くてよくわからない
絵だったんだけど
とにかく、それで
出ン社は 伝写になったんだ。